【女子禁制】司馬遼太郎『峠』に学ぶ「男の人生と性欲」

こんばんは、源(@kinogen0018)です。

男が抱える数ある欲の中で、一番怖いのが性欲だと思う。

中世から現在に至るまで、ハニートラップやらデート商法やらが無くならないことから分かるように、性欲は非常に利用されやすいものだ。

また性欲は正常な判断力を奪う。男子であれば誰もが一度や二度は判断ミスで後悔したことがあるに違いない。

では、どうすれば最強の敵とも言える性欲と上手く付き合うことができるのか。

学生時代に読んだ本のうち、司馬遼太郎の『峠』という本にそのヒントがあるように思えたので引用しつつ、性欲との付き合い方について考えて行きたい。

スポンサーリンク

司馬遼太郎『峠』とは?

『峠』とは司馬遼太郎によって著された時代小説である。

主人公は河井継之助という男。

幕末の越後長岡藩(今の新潟県)に生まれ、日本各地を転々として学問を修めたのちに帰郷。最後は家老となり、対立した新政府軍に一発かました人である。

風俗狂「風俗はアカンのだ」

実はこの河井継之助、作中では相当な風俗狂として描かれている。
今でいう風俗嬢カタログのような冊子にの上から順に通い、4段階評価を書き込む。いわば風俗レビュアーである。

そんな河井継之助が故郷を離れ江戸に留学していた時、後輩に「風俗なんて行かないほうが良いのだ」と説いた。

なぜか?という後輩からの問に対し、「男子の志をうしなうからだ」と継之助は続ける。

志こそが男の価値

『峠』の中では、しばしば「人生」そして「志」という言葉が出てくる。

「志とは、なにか」

「世は絵でいえば一幅の画布である。そこに筆を上げて絵をかく。なにを描くか、志をもってかく。それが志だ」

「どういう絵を描くか」=「自分の人生をいかに生きるか」(テーマ)
「どのように描くか」=「どのようにテーマを表現・実行するか」

これらこそが志であり、この志の高い低いによって男の人生の価値が決する、と継之助はいう。

三日坊主という言葉があるが、何かをやろうと思い立ち、それを継続することは非常に困難である。自分がいま社会人であれば入社当時に、大学生なのであれば入学当時に、何を考えて入社・入学したのか思い出してほしい。

高い志を持って入社してきた新卒サラリーマンの半分以上は入社数カ月で会社の愚痴しか言わなくなるし、受験勉強を頑張ってやっとの思いで大学に入っても飲み会やサークルに忙しく、どんどん授業に出席しなくなっていく。

だがこれは仕方ない。

この点、継之助も異論はなく 「志ほど世に溶けやすく、こわれやすく、くだけやすいものはない」と述べている。

性欲の前では強い意志なんて持てない

男子がこの志を実現する道程に立ちはだかる欲の中でも、最大の敵が性欲である。

継之助は性欲について以下のようにに言及している。

「一種言うべからざるの情によって鉄石の志をも溶かされてしまう」

「…婦人ほど男子の志を溶かすものはない。おそろしいのは、市の薄弱な市井の裕次郎のみが婦人におぼれるかといえば、そうではない。英雄豪傑のほうがかえって溺れる」

他の欲と比べ物にならない破壊力で志が砕かれてしまうこと、そして男はスゴい奴もそうでない奴も皆性欲に負ける危険と隣り合わせである、と忠告している。

思うに、性欲とはスターウォーズでいうダークサイドなのだろう。大きな代償を払わなければいけない危険性だってある。

性欲と上手に付き合っていくにはどうすればよいのか?

後輩に「風俗なんて行かないほうが良いのだ」と説いた河井継之助。

作中では「風俗はダメだと言っておいて、何故自分は風俗に通い、性欲に溺れているのか?」という後輩の問に対し、結局答えられていない。

しかし、この溶けやすい「志の高さを守り抜く」ということに関しては以下のように述べられている。

志は塩のように溶けやすい。男子の生涯の苦渋というものはその志の高さをいかにまもりぬくかというところにあり、それをまもりぬく工夫は格別なものではなく日常茶飯の自己規律にある

あらゆるもの(欲・誘惑など)から志の高さを守り抜くには、特別なことではなく、日常の自律が大切なのだそうだ。

これはダイエットや筋トレを思い浮かべていただければわかりやすいように思う。自身で食生活や運動量をコントロールできれば引き締まった身体は手に入る。

さらに継之助は日常の自己規律についてこのようにいう。

箸の上げ下ろしにも自分の仕方がなければならぬ。物の言いかた、人との付き合いかた、息の吸い方、息の吐き方、酒ののみ方、あそび方、ふざけ方、すべてがその志をまもるがための工夫によってつらぬかれておらねばならぬ

自分の志を達成するために「やらなければいけないこと」もしくは「やってはいけないこと」を落とし込んだルーティーンや型のようなものを確立することが大切なのだろう。

これは性欲との向き合い方についても間違いなく活用できる。

例えば「サラリーマンとして平凡に生きていきたい」という志を持っているとする。
自分が酒に酔うと誰彼構わず手を出してしまうタイプなら「手を出すとまずそうな同期女子の前ではお酒のペースを控えめにする」だとか、そんな些細なことだろう。

このように、「日常のあらゆるシーンで『志を落とし込んだマイルール』を設定し、『今回だけは〜』とか『今日ぐらいOKでしょ』のような例外を作らず、ひたすらに遵守すること」こそが男の人生で性欲と上手く付き合っていくコツなのではないだろうか。

タイトルとURLをコピーしました