こんばんは、源(@kinogen0018)です。
「本を読め、人に会え、そして旅をしろ。」
文藝春秋社長 池島信平
学生時代、働いていたインターン先の社長がチラッと引用していた格言である。調べてみると人が成長する3つのポイントらしい。
俺の長所は素直なことだ。まだアダルトサイトのフィッシング詐欺に引っかかっていないのは奇跡と言っていい。
故にこの格言通り、就活が終わってからは3つに邁進した。
- 「司馬遼太郎を読み漁る」
- 「Tinderで人と出逢う」
- 「卒業旅行をする」
人とは出逢えずに終わったものの、残り2つの「本を読む」「旅をする」については人生で一番充実した時期になったと思う。
今回は「本を読むこと」つまり「司馬遼太郎を読み漁った」ことについて記そう。
なぜ歴史を学ぶのか?
就活を終えた俺は微妙に意識が高かった。
当たり前である。多少意識を高めないと就活なんてやっていられない。
あるコンサルファームにインターンへ行けば同じ歳の大学生にくどくどとファイナンスとは何たるかを語られたし、あるメーカーに行けば聞いたこともないマーケティング用語を光の速さで投げかけられた。
大学生の頃は周囲の頭の出来の良い友人の答案を丸暗記するというテクを用いてなんとか単位を取得できたが、就活となれば周囲にいるのはライバルだ。
そんな荒波の如き就職活動をやっとのことでくぐり抜けた時分なのでどうしても意識は高くなる。
偉人の格言も半分ぐらいは真に受けるぐらいの意識の高さだったので、「本を読め」の言葉通り、そして「賢者は歴史に学ぶ」との言葉通り、著名な歴史作家・司馬遼太郎の作品を読み漁ることにした。
歴史とは過去に生きた人々の経験の集積である。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」
オットー・フォン・ビスマルク
俺が歴史はおろか自身の経験からも学べない愚者だと気がついたのはもう少し後のことである。
しかし、司馬遼太郎作品が俺の人生に多大な影響を与えていることは間違いない。
俺より賢い読者諸君ならもっと多くのことをこれらの本から得られるはずだ。
余談だがAmazonの電子書籍サービス・Kindleを利用すれば家に本棚も必要ないし、いつでもどこでもスマホ1つで欲しい本を買って読み始められる。また紙媒体の本を買うより安いし、さらにセールも頻繁に行っているのでお得に本が読めることは間違いない。
意識高い就活生だけでなく、狭小物件に住む貧乏サラリーマンまでホモサピエンス全員におすすめだ。
司馬遼太郎で歴史は学べるか?
歴史を学ぶにあたって司馬作品の全てが歴史に忠実か、と言われるとそうとは言えない。
しかし、司馬遼太郎は作品を執筆する前に全国各地の史跡に足を運ぶだけでなく、子孫や縁者にインタビューを行ったり、何千万円かけてまで資料を集めたりした。
資料収集に関しては特に凄まじく、司馬遼太郎が小説のテーマとなる資料集めにかかると、神保町の古本屋街から古本がなくなったという逸話が残っているほどである。
司馬作品には、このような綿密なテーマ検証をもとに「主人公はどう考えたか?」「主人公はどのように行動したか?」という司馬遼太郎による考察が凝縮されている。
大金を史料につぎ込んだりできない我々が採り得る「歴史を学ぶ方法」として司馬作品を読む、ということは悪くない方法ではないだろうか?
最初の一冊にオススメな司馬作品
本当は自分で調べて好きな司馬作品を見つけて欲しいのだけれど、最初の一冊として良さそうな作品を1つ紹介しておく。
選定理由は
- 司馬作品の中では短めの上下2巻であること
- 主人公が著名であること
- 実生活に活かしやすい教訓が学べる作品であること
以上3点である。
紹介するのは徳川家康が主人公の『覇王の家』という作品である。
この本は渋谷界隈のイケイケITベンチャーというよりは、超安定志向の日系大企業に勤めるサラリーマンや公務員にピッタリの本である。
意識が高く「絶対天下取るわw」みたいな主人公が比較的多い司馬遼太郎作品の中で、数少ない「守りの教典」であるといえよう。
この教典が教えてくれるのは、組織の中で自己を守る方法、義理や信頼を重んじる人間関係・主従関係の中でどうすれば自分は生き延びることができるか?ということだ。
物語は家康が人質として過ごしていた幼少期から始まる。
家康は近隣に強国(今川家・武田家・織田家)がひしめく最中に生まれ、不遇な若年期を過ごさざるを得なかった。
やたら駅間隔の広い特急電車で急にお腹が痛くなったり、ティッシュを持っていないのに鼻血が出てきた時の数百倍は絶望的な状況である。
そんな絶望の淵から少しづつ這い上がっていく家康の振る舞い、特に隣国・同盟国に対する立ち振る舞いは終身雇用制度の色濃い日系大企業サラリーマンや公務員が見習うべきスキルであろう。
また対内的なリーダーシップも注目に値する。主人公・家康の家臣団、つまり部下に対する思いやりとカリスマ(っぽさ)の出し方は今後のサラリーマン生活の糧となるに違いない。
司馬作品を読もう
就活を終えてから入社までに20作品ぐらいの司馬遼太郎作品を読んだ。
どの作品もエンタメ的にも、歴史教養的にも、時には自己啓発的にも楽しめるものばかりである。
『覇王の家』に限らずとも、司馬作品を是非一読していただきたい。